資金調達のエッセンス

日々の経営には資金が必要であり、ヒト・モノ・カネがグローバルに動く時代

キャッシュアウトに注意

キャッシュアウトを資産に計上することによって、破綻していく中小企業が後を絶ちません。

そもそもキャッシュアウトというのは「資金の流出」のことで、キャッシュフローにおいて、お金が手元から外へ流出していくことです。

このキャッシュアウトには会計のルールによって、P/L(損益計算書)の費用に計上するものと、B/S(貸借対照表)の資産に計上するものとに分かれます。

損益計算書の場合は、人件費や修繕費などの経費に当てられ、貸借対照表の場合は、固定資産や棚卸資産、有価証券の購入などが該当します。

表面化しない痛み

費用に計上する場合であれば、その数値は「利益減」や「赤字」となって一発で損益計算書に現れてくるのですが、資産計上を行った場合だと、その痛みが損益計算書に表れてくるのが遅くなります。

どんな経営者でも損益計算書が黒字方向であれば「まだまだ大丈夫だ」と考え、直前の問題を先送りしがちで、どうしても危機感を感じることができません。

よって資産計上によって遅れてくる「キャッシュアウトの痛み」は、借金の増加によってカバーされることとなり、いつの間にか借金が膨れ上がり、金融機関に対する約定返済を減額する手続きへと進んでしまいます。

多くの経営者が陥る勘違いは「損益計算書が黒字を保っていれば、銀行は支援してくれる」というもので、計上の仕方によっては、資産だったものが実は借金でしかなかったなんてことも多々あるようです。

経営者たるもの「まだまだいける」「なんとかなる」というような根拠のない自信だけは避けたいものです。