資金調達のエッセンス

日々の経営には資金が必要であり、ヒト・モノ・カネがグローバルに動く時代

金融機関の種類

中小企業が資金を調達する場合、民間金融機関と政府系金融機関に分けることができます。

f:id:hfullife:20170914174154j:plain

民間金融機関の場合

民間金融機関も大きく分けると「メガバンク」「地方銀行第二地方銀行」「信用金庫・信用組合・協同組合」に分かれます。

まず「メガバンク」というのは都市銀行の中でもとりわけ大きな銀行のことで、明確な定義はありませんが、一般的「三菱東京UFJ」「みずほ」「三井住友」の3つを指します。

余談ではありますが、この3つに「りそなホールディングス」「三井住友トラスト・ホールディングス」が加わると「大手銀行5グループ」といい、「新生銀行」「あおぞら銀行」が加わると「大手銀行7グループ」と表現されることがあります。 基本的に融資においては「格付け」が重要となります。

地方銀行第二地方銀行」はその名の通り、地域性がもっとも強く、融資においても地域の基幹産業や地域への貢献度の高い企業や産業に対しては、業績に多少問題があったとしても応援しようとすることがあります。

「信用金庫・信用組合・協同組合」などの基本理念としては「会員や組合員の相互扶助」というものがあり、非営利ということから比較的小さい企業との取引に向いています。

また、銀行以外では「商工ローン業者」というものがあり、これは預金を受け入れない貸金業者のことで、先の銀行と比べると以下のような特徴があります。

まず銀行などと比べ、貸出金利は割高となっていて、貸出条件が厳しく連帯保証人などを求められることがあります。

しかしながら、審査機関は銀行系と比べると、ほぼ半分の期間で結論が出るため、急ぎの資金調達時に利用されることがあります。

政府系金融機関

政府からの出資によって特殊法人として設立された金融機関のことで「日本政策投資銀行」「日本政策金融公庫」「国際協力銀行」や「商工組合中央金庫」などがあります。

多くは一般銀行では対応の難しい分野の企業への貸付で、中小零細企業個人事業主を対象とした融資も行っています。

キャッシュアウトに注意

キャッシュアウトを資産に計上することによって、破綻していく中小企業が後を絶ちません。

そもそもキャッシュアウトというのは「資金の流出」のことで、キャッシュフローにおいて、お金が手元から外へ流出していくことです。

このキャッシュアウトには会計のルールによって、P/L(損益計算書)の費用に計上するものと、B/S(貸借対照表)の資産に計上するものとに分かれます。

損益計算書の場合は、人件費や修繕費などの経費に当てられ、貸借対照表の場合は、固定資産や棚卸資産、有価証券の購入などが該当します。

表面化しない痛み

費用に計上する場合であれば、その数値は「利益減」や「赤字」となって一発で損益計算書に現れてくるのですが、資産計上を行った場合だと、その痛みが損益計算書に表れてくるのが遅くなります。

どんな経営者でも損益計算書が黒字方向であれば「まだまだ大丈夫だ」と考え、直前の問題を先送りしがちで、どうしても危機感を感じることができません。

よって資産計上によって遅れてくる「キャッシュアウトの痛み」は、借金の増加によってカバーされることとなり、いつの間にか借金が膨れ上がり、金融機関に対する約定返済を減額する手続きへと進んでしまいます。

多くの経営者が陥る勘違いは「損益計算書が黒字を保っていれば、銀行は支援してくれる」というもので、計上の仕方によっては、資産だったものが実は借金でしかなかったなんてことも多々あるようです。

経営者たるもの「まだまだいける」「なんとかなる」というような根拠のない自信だけは避けたいものです。

売掛債権担保融資

自社が保有している売掛債権を担保として融資を行う制度として、売掛債権担保融資と言うものがあります。 まぁ、字面にするとそのままですね・・・。

さてこの融資は全国的にかなり活発に行われている融資のひとつで、中小企業向けとしては借りての望んでいる金額に近い融資を行ってくれることが多く、担保としての売掛債権は複数の企業に分散しているほど借りやすくなります。

ちなみに複数の企業についてなのですが、売掛先が上場していなければならないというようなことはなく、未上場企業であっても担保の対象となります。

複数にまたがるよりも、上場企業1社のほうがいいんじゃないの?? なんて声が聞こえてきそうですが、いかに上場企業とはいえ、現状1年先、2年先はどうなっているかわかりませんし、たとえ未上場であっても複数あったほうが、リスクは分散されますよね。

先程、おおむね希望の額を融資してもらえるということを挙げましたが、この売掛債権担保融資のメリットは、審査自体が該当企業の実情に見合ったものとなりますので、従来の融資よりも多くの資金を調達することができます。

しかしながら、いいことばかりではありません。

大きなデメリットとしては、貸出金利が高いこと。 目安としては10%前後の金利がつくことが多いので、長期ので融資には向いておらず、あくまでも短期返済を前提とした資金調達方法として考えたほうがいいでしょう。